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Report | 北斗・函館フットボールクリニックvol.2

6月の第1回クリニックから2週間。あっという間に北斗|函館フットボールクリニックvol.2の開催です。この2週間を経て、子どもたちは変化しているのか、ワクワクしながら飛行機に飛び乗りました。

今回は寒かった……。子どもたちは元気いっぱい!

前乗りした日から霧雨の渡島。「(あ、こっちの6月ってこんな天気だった……)」。すっかり忘れていました。前回はまだ寒いだろうと思って、防寒ウェアをしっかり準備しましたがまったくの用無し。そのため今回はかなりの軽装で来てしまいました。寒い。

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函館駅の上空はどんよりした雨雲

クリニック当日。朝露で濡れている芝でトレーニングの準備をしていると「くまこーちー! おはよーございまーす!」。大きな声で子どもたちが元気いっぱいに挨拶してくれます。この瞬間がとても嬉しいです。その後は皆でゴールを組み立てて運びます。普段のチーム活動の成果が現れる瞬間です。

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後から来ている仲間を見つけると足が止まります

低学年|突破のドリブル・レガテ

低学年のテーマは突破のドリブル「レガテ」です。日本語で「フェイント」を意味するので、子どもたちにとってもイメージが掴みやすいドリブルとなります。

突破のドリブルとなると足元の技術に目が行きがちですが、それは一つの選択肢。ですから、どれだけ足元が上手い選手でも、ドリブル一択だとディフェンスラインの突破は困難になります。

アナリティクスからはじめても良いが、インテグラルなトレーニングに移行すること

コーディネーションを終え、トレーニングはアナリティクス(反復系)のドリブルへ。実践的なインテグラルトレーニングからスタートするのは、それはそれでありです。子どもたちのレベルやグループ内でのレベル差を加味して、アナリティクストレーニングを取り入れることはとても効果的です。

ただ、私が意識していることとして、トレーニングは試合でのパフォーマンスを上げるために実施するものなので、アナリティクスではじめても、最終的にはインテグラルなオーガナイズにシフトしています。多くのフットボールクラブが最後のセッションで試合(インテグラル)を取り入れていると思います。その場合、アナリティクストレーニングからいきなり試合にするのではなく、その変化を緩やかにすることで、子どもたちはその日のトレーニングテーマを上手く咀嚼できると考えています(カテゴリーやレベルによってはこれに限りません)。今回のレガテでも、ボールタッチの確認から、徐々に試合で起こる状況を切り取ったオーガナイズで実施しました。

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フェイントは足技だけではなく、認知することでも発生する

実践的なドリブルのトレーニングは、2v1のオーガナイズからだと考えています。もちろん1v1でもよいのですが、オフェンスの選手はつねに「パス」と「ドリブル」の選択肢を持つ必要があります。そのため、ボールホルダーにディフェンスがついているか、又はサポートについているかの状況下でプレーするのが「普通」にならなくてはなりません。

パスかドリブルの二択を土台に、ボールホルダーはドリブルのコースや体の向きを変えるだけでもディフェンダーの意識や視線にフェイントをかけることができます。ボールホルダーが周りを認知するだけで、相手を突破する成功率はグンと上がるのです。

ディフェンスにとって「パスなのか、ドリブルなのか最後までわからない」。この状態をオフェンスは発生させることが重要です。

中・高学年|三種類のドリブル

中・高学年は前回に引き続き3種類のドリブルをテーマに実施しました。まずはコーディネーションとともにボールタッチの確認から。初日の昼頃から雨が降り出してきましたが、子どもたちは何のその。真剣にボールを追っていました。

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発生するスペースと消滅するスペースを探しながらドリブルを行う

スペースはボールや選手と異なり、目には見えません。さらに状況によって様々な変化があるため、認知するのは簡単ではありません。しかし、スペースを意識したトレーニングを継続して行うことで、スペースの発生と消滅の認知や予測ができるようになります。

シンプルな例として、2v1の状況が挙げられます。2人のオフェンスが1人のディフェンスを突破するトレーニングです。ボールホルダーはドリブルでパスかドリブルを判断してプレーを続けます。この時、ボールホルダーの目の前にディフェンダーがいれば、ドリブルを行うスペースは消滅、反対に味方の前にはスペースが発生します。この場合、ボールホルダーが決定するプレーとして成功が高いのは、パスです。広い方がボールを扱いやすいからです。

このように言うと、とても簡単な理屈ですが、実際にプレーしてみるとなかなか難しいものです。スペースの発生と消滅は刻一刻と変化します。そのため認知しながらプレーをするのは、選手にとってかなりのストレスとなります。ですが、スペースを味方につけた選手ほど、魅力的なプレーができるのも確かです。

ボールを持った選手が固まって動かない。訳を聞くと……。

出来事はポゼッションをしている時に起きました。私からの配給を受け取ったある子どもが、相手と対峙しながら動かくなってしまったのです。それはまるで時が止まったようで、周りの子どもたちもびっくり。一旦止めてどうしたのかと聞くと、「あっちにパスしようとしたけど近くに相手がいるから、反対を見たらスペースがあってドリブルができると思って……」。どうやら頭で考えすぎて動けなくなってしまったよう。

その時はプレーをするように促しトレーニングは続けられましたが、指導をしながら内心は「(話してくれたことを一生懸命理解しようとしてくれてありがとう!)」とかなり嬉しかったです。教えたことをプレーで表現してくれることも嬉しいですが、こうやって頭で理解しようと努力してくれることも同じくらい嬉しいです。

そして、あまり発言しない子でも、頭の中で色々な事を考えている。「話ができない=理解してない」ではないのだと、改めて反省しました。今後は子どもの表情や仕草をより深く観察していきたいと思います。

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大人が話している時、子どもはたっくさん想像している

次回はOSO SFLサマーキャンプ!

8月のクリニックはお休みです。代わりに8月21日、22日(土日)に、OSO SFLサマーキャンプ北海道を開催します。当キャンプではスペインで指導している日本人指導者とともに、かなり濃い内容のトレーニングを行っていきますので、ぜひご参加ください!

次回のクリニックは9月11日、12日(土日)の予定です。


協力:北斗スポーツクラブNOSS

キャンプサイト:OSO SFLサマーキャンプ2021