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Report | 北斗・函館フットボールクリニックvol.1

5月から開催予定だった「北斗|函館フットボールクリニック」。緊急事態宣言を受け、解除後の6月に開催日を移動して無事、実施しました。

今回から小学生の学年を三つに別け、各グループ用に年間指導プランを作成しました。当日はトレセンで参加できない学年があったため、変則的に低学年と高学年の2グループで実施しました。

最高の天然芝! だけど暑かった

会場は北海道北斗市にある北斗市運動公園多目的広場。体育館・陸行競技場・フットボール×2面・パークゴルフ場・野球場と、広大な敷地の中に様々なスポーツが楽しめる環境が整っています。会場から数百メールに海が広がり、時々潮風の匂いを感じます。

二日間とも綺麗な青空が広がり、まさにスポーツ日和! と思っていましたが、あつい、暑い!! 聞くとクリニック前日までは涼しかったようですが、当日は打って変わって夏の北海道となったようです。子どもたちも「あぢーっ!」と顔を赤くしていました。幸い会場のピッチは天然芝だったので、地面に熱はたまらず快適にボールを蹴らせることができました。

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低学年|運ぶドリブル・コンドゥクシオン

低学年のテーマは運ぶドリブル「コンドゥクシオン」です。日本語で「運転」を意味するこのドリブルは、様々な場面で使われます。

はじめはボールフィーリングを中心に、タッチによってボールがどのように転がるのかを確認するトレーニングから。細かく触ることが運ぶドリブルの基本ですが、さらに細かな部分にこだわることで、選手独自のタッチができてきます。

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単純なコーンドリブルも工夫次第で生きた技術の習得ができる

ドリブルの代表的トレーニングであるコーンドリブル。アナリティクストレーニングといわれる反復・ドリルの形式です。小学低学年では、ボールフィーリングの基礎を定着するために行っても良いと思います。ただ、ドリブルがプレーの目的になってしまわないように注意します。

行ったドリブルは選手を前にコーンを2〜3本置き、コーンの前でフェイントをしたり、周りを回ったりして往復するものです。ここに、一工夫を入れます。

例えば、ドリブルするレーンを4列設けて、選手はどのレーンでも自由に通過することができるようにします。さらに、先の選手が通過したコーンに他の選手は通過できず、未だ誰も通過していないところを進む、というルールです。こうすることで、選手は通過できるドリブルコースとそうでないコースを把握する必要が出てきます。

運ぶドリブルを行うにあたって、ボールを持つ選手は自身やチームを有利な状況にしていくことが大切です。そのためには「ドリブル(ボールタッチ)がうまくいった」ではなく「ドリブル(有利な状況にボールを運ぶ)ができた」という認識が試合の中で生きてきます。トレーニングの最後に行ったゲームでも時々、選手を止めて「どこのスペースが大きく(広く)なっているかな?」「ボールを持った選手の目の前のスペースはどうなってきている?」といった問いかけを行いながら、運ぶドリブルの使い所について確認しました。

最後のゲームは選手vsコーチ!

今回は時間が多く取れたため、トレーニングの最後は選手vsコーチで試合を行いました。前進でチャージに来る選手、思い切りスライディングにくる選手……、かなりのプレッシャーに足首が持っていかれそうになりました。

二日間のリーグ形式で行われたゲーム。選手たちより長いプレー経験を見せつけるべく、最後はしっかりと勝たせていただきました! 7月のフットボールクリニックでも時間があればやりたいと思うので、是非くまコーチに勝ってください!!

高学年|三種類のドリブル

高学年は3種類のドリブルをテーマに実施しました。

相手を抜き去る突破のドリブル

「突破のドリブル」。相手と対峙した時に抜きにかかるドリブル。

意図的にある場所にボールを運ぶドリブル

「運ぶドリブル」。相手に向かってドリブルをするのではなく、「ある場所に目的を持ってボールを運ぶ」こと。

ボールを絶対取られない守るドリブル

「守るドリブル」。最大の目的はボールを失わない。パスコースがない、プレッシャーが強い、スペースが減少している、そんな時にボールを死守するドリブル。

味方がいて、相手がいるから生まれる選択肢がフェイントになる

二日間を通して2対1のトレーニングをベースに行いました。もちろん1vs1も大切なのですが、実際の試合でボールを持った選手がドリブルを行う際、認知すべきことは「味方」「相手」「スペース」「ゴール」「ボール」です。この中でもドリブルでは「味方」「相手」「スペース」が重要です。

相手を抜くにせよ、ボールを運ぶにせよ、スペースがなければ成功率は低くなります。また、ディフェンダーにとって選択肢をたくさん持った(持っているような)オフェンスは、守備の判断を鈍らせます。つまり、ボールを持った選手が常にまわりの状況を認知する事自体、ひとつのフェイントの効果となります。

トレーニングはシンプルです。コーンの真ん中にディフェンスを立たせ、そのオーガナイズを三箇所作ります。オフェンスの2人はそのディフェンス(ライン)を三箇所突破し、フィニッシュします。

リアリティーを出すために、抜かれたディフェンスは後追いできるようにします。こうすることで、ディフェンスを抜いた後もプレースピードを落とさない、ボールを前進することでプレッシャーが強くなる状況を作り出しています。

トレーニングのはじめは、ボールを持った選手がどちらのサイドにボールを運ぶかはっきりしていない、またはドリブルのスピードが遅い、という原因でなかなかフィニッシュに持ち込むことはできませんでした。何度かフリーズをかけ、プレーを修正していくことで、選手たちは徐々にフィニッシュまで行けるようになり、駆け引きの楽しさを感じていました。

高学年でもアナリティクストレーニングは大切です。ただし、それはプレーを円滑に進めるために必要な準備だと選手と指導者が理解する必要があります。

クリニックはまだ始まったばかり。継続することで、選手たちはインテグラルなトレーニングでもすぐに馴染むことができるようになると信じています。私も選手の成長に負けないよう、全力でインプット&アウトプットしていきます!

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協力:北斗スポーツクラブNOSS

キャンプサイト:OSO SFLサマーキャンプ2021