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Report | 北斗・函館フットボールクリニックvol.2

6月の第1回クリニックから2週間。あっという間に北斗|函館フットボールクリニックvol.2の開催です。この2週間を経て、子どもたちは変化しているのか、ワクワクしながら飛行機に飛び乗りました。

今回は寒かった……。子どもたちは元気いっぱい!

前乗りした日から霧雨の渡島。「(あ、こっちの6月ってこんな天気だった……)」。すっかり忘れていました。前回はまだ寒いだろうと思って、防寒ウェアをしっかり準備しましたがまったくの用無し。そのため今回はかなりの軽装で来てしまいました。寒い。

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函館駅の上空はどんよりした雨雲

クリニック当日。朝露で濡れている芝でトレーニングの準備をしていると「くまこーちー! おはよーございまーす!」。大きな声で子どもたちが元気いっぱいに挨拶してくれます。この瞬間がとても嬉しいです。その後は皆でゴールを組み立てて運びます。普段のチーム活動の成果が現れる瞬間です。

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後から来ている仲間を見つけると足が止まります

低学年|突破のドリブル・レガテ

低学年のテーマは突破のドリブル「レガテ」です。日本語で「フェイント」を意味するので、子どもたちにとってもイメージが掴みやすいドリブルとなります。

突破のドリブルとなると足元の技術に目が行きがちですが、それは一つの選択肢。ですから、どれだけ足元が上手い選手でも、ドリブル一択だとディフェンスラインの突破は困難になります。

アナリティクスからはじめても良いが、インテグラルなトレーニングに移行すること

コーディネーションを終え、トレーニングはアナリティクス(反復系)のドリブルへ。実践的なインテグラルトレーニングからスタートするのは、それはそれでありです。子どもたちのレベルやグループ内でのレベル差を加味して、アナリティクストレーニングを取り入れることはとても効果的です。

ただ、私が意識していることとして、トレーニングは試合でのパフォーマンスを上げるために実施するものなので、アナリティクスではじめても、最終的にはインテグラルなオーガナイズにシフトしています。多くのフットボールクラブが最後のセッションで試合(インテグラル)を取り入れていると思います。その場合、アナリティクストレーニングからいきなり試合にするのではなく、その変化を緩やかにすることで、子どもたちはその日のトレーニングテーマを上手く咀嚼できると考えています(カテゴリーやレベルによってはこれに限りません)。今回のレガテでも、ボールタッチの確認から、徐々に試合で起こる状況を切り取ったオーガナイズで実施しました。

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フェイントは足技だけではなく、認知することでも発生する

実践的なドリブルのトレーニングは、2v1のオーガナイズからだと考えています。もちろん1v1でもよいのですが、オフェンスの選手はつねに「パス」と「ドリブル」の選択肢を持つ必要があります。そのため、ボールホルダーにディフェンスがついているか、又はサポートについているかの状況下でプレーするのが「普通」にならなくてはなりません。

パスかドリブルの二択を土台に、ボールホルダーはドリブルのコースや体の向きを変えるだけでもディフェンダーの意識や視線にフェイントをかけることができます。ボールホルダーが周りを認知するだけで、相手を突破する成功率はグンと上がるのです。

ディフェンスにとって「パスなのか、ドリブルなのか最後までわからない」。この状態をオフェンスは発生させることが重要です。

中・高学年|三種類のドリブル

中・高学年は前回に引き続き3種類のドリブルをテーマに実施しました。まずはコーディネーションとともにボールタッチの確認から。初日の昼頃から雨が降り出してきましたが、子どもたちは何のその。真剣にボールを追っていました。

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発生するスペースと消滅するスペースを探しながらドリブルを行う

スペースはボールや選手と異なり、目には見えません。さらに状況によって様々な変化があるため、認知するのは簡単ではありません。しかし、スペースを意識したトレーニングを継続して行うことで、スペースの発生と消滅の認知や予測ができるようになります。

シンプルな例として、2v1の状況が挙げられます。2人のオフェンスが1人のディフェンスを突破するトレーニングです。ボールホルダーはドリブルでパスかドリブルを判断してプレーを続けます。この時、ボールホルダーの目の前にディフェンダーがいれば、ドリブルを行うスペースは消滅、反対に味方の前にはスペースが発生します。この場合、ボールホルダーが決定するプレーとして成功が高いのは、パスです。広い方がボールを扱いやすいからです。

このように言うと、とても簡単な理屈ですが、実際にプレーしてみるとなかなか難しいものです。スペースの発生と消滅は刻一刻と変化します。そのため認知しながらプレーをするのは、選手にとってかなりのストレスとなります。ですが、スペースを味方につけた選手ほど、魅力的なプレーができるのも確かです。

ボールを持った選手が固まって動かない。訳を聞くと……。

出来事はポゼッションをしている時に起きました。私からの配給を受け取ったある子どもが、相手と対峙しながら動かくなってしまったのです。それはまるで時が止まったようで、周りの子どもたちもびっくり。一旦止めてどうしたのかと聞くと、「あっちにパスしようとしたけど近くに相手がいるから、反対を見たらスペースがあってドリブルができると思って……」。どうやら頭で考えすぎて動けなくなってしまったよう。

その時はプレーをするように促しトレーニングは続けられましたが、指導をしながら内心は「(話してくれたことを一生懸命理解しようとしてくれてありがとう!)」とかなり嬉しかったです。教えたことをプレーで表現してくれることも嬉しいですが、こうやって頭で理解しようと努力してくれることも同じくらい嬉しいです。

そして、あまり発言しない子でも、頭の中で色々な事を考えている。「話ができない=理解してない」ではないのだと、改めて反省しました。今後は子どもの表情や仕草をより深く観察していきたいと思います。

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大人が話している時、子どもはたっくさん想像している

次回はOSO SFLサマーキャンプ!

8月のクリニックはお休みです。代わりに8月21日、22日(土日)に、OSO SFLサマーキャンプ北海道を開催します。当キャンプではスペインで指導している日本人指導者とともに、かなり濃い内容のトレーニングを行っていきますので、ぜひご参加ください!

次回のクリニックは9月11日、12日(土日)の予定です。


協力:北斗スポーツクラブNOSS

キャンプサイト:OSO SFLサマーキャンプ2021

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Report | 北斗・函館フットボールクリニックvol.1

5月から開催予定だった「北斗|函館フットボールクリニック」。緊急事態宣言を受け、解除後の6月に開催日を移動して無事、実施しました。

今回から小学生の学年を三つに別け、各グループ用に年間指導プランを作成しました。当日はトレセンで参加できない学年があったため、変則的に低学年と高学年の2グループで実施しました。

最高の天然芝! だけど暑かった

会場は北海道北斗市にある北斗市運動公園多目的広場。体育館・陸行競技場・フットボール×2面・パークゴルフ場・野球場と、広大な敷地の中に様々なスポーツが楽しめる環境が整っています。会場から数百メールに海が広がり、時々潮風の匂いを感じます。

二日間とも綺麗な青空が広がり、まさにスポーツ日和! と思っていましたが、あつい、暑い!! 聞くとクリニック前日までは涼しかったようですが、当日は打って変わって夏の北海道となったようです。子どもたちも「あぢーっ!」と顔を赤くしていました。幸い会場のピッチは天然芝だったので、地面に熱はたまらず快適にボールを蹴らせることができました。

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低学年|運ぶドリブル・コンドゥクシオン

低学年のテーマは運ぶドリブル「コンドゥクシオン」です。日本語で「運転」を意味するこのドリブルは、様々な場面で使われます。

はじめはボールフィーリングを中心に、タッチによってボールがどのように転がるのかを確認するトレーニングから。細かく触ることが運ぶドリブルの基本ですが、さらに細かな部分にこだわることで、選手独自のタッチができてきます。

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単純なコーンドリブルも工夫次第で生きた技術の習得ができる

ドリブルの代表的トレーニングであるコーンドリブル。アナリティクストレーニングといわれる反復・ドリルの形式です。小学低学年では、ボールフィーリングの基礎を定着するために行っても良いと思います。ただ、ドリブルがプレーの目的になってしまわないように注意します。

行ったドリブルは選手を前にコーンを2〜3本置き、コーンの前でフェイントをしたり、周りを回ったりして往復するものです。ここに、一工夫を入れます。

例えば、ドリブルするレーンを4列設けて、選手はどのレーンでも自由に通過することができるようにします。さらに、先の選手が通過したコーンに他の選手は通過できず、未だ誰も通過していないところを進む、というルールです。こうすることで、選手は通過できるドリブルコースとそうでないコースを把握する必要が出てきます。

運ぶドリブルを行うにあたって、ボールを持つ選手は自身やチームを有利な状況にしていくことが大切です。そのためには「ドリブル(ボールタッチ)がうまくいった」ではなく「ドリブル(有利な状況にボールを運ぶ)ができた」という認識が試合の中で生きてきます。トレーニングの最後に行ったゲームでも時々、選手を止めて「どこのスペースが大きく(広く)なっているかな?」「ボールを持った選手の目の前のスペースはどうなってきている?」といった問いかけを行いながら、運ぶドリブルの使い所について確認しました。

最後のゲームは選手vsコーチ!

今回は時間が多く取れたため、トレーニングの最後は選手vsコーチで試合を行いました。前進でチャージに来る選手、思い切りスライディングにくる選手……、かなりのプレッシャーに足首が持っていかれそうになりました。

二日間のリーグ形式で行われたゲーム。選手たちより長いプレー経験を見せつけるべく、最後はしっかりと勝たせていただきました! 7月のフットボールクリニックでも時間があればやりたいと思うので、是非くまコーチに勝ってください!!

高学年|三種類のドリブル

高学年は3種類のドリブルをテーマに実施しました。

相手を抜き去る突破のドリブル

「突破のドリブル」。相手と対峙した時に抜きにかかるドリブル。

意図的にある場所にボールを運ぶドリブル

「運ぶドリブル」。相手に向かってドリブルをするのではなく、「ある場所に目的を持ってボールを運ぶ」こと。

ボールを絶対取られない守るドリブル

「守るドリブル」。最大の目的はボールを失わない。パスコースがない、プレッシャーが強い、スペースが減少している、そんな時にボールを死守するドリブル。

味方がいて、相手がいるから生まれる選択肢がフェイントになる

二日間を通して2対1のトレーニングをベースに行いました。もちろん1vs1も大切なのですが、実際の試合でボールを持った選手がドリブルを行う際、認知すべきことは「味方」「相手」「スペース」「ゴール」「ボール」です。この中でもドリブルでは「味方」「相手」「スペース」が重要です。

相手を抜くにせよ、ボールを運ぶにせよ、スペースがなければ成功率は低くなります。また、ディフェンダーにとって選択肢をたくさん持った(持っているような)オフェンスは、守備の判断を鈍らせます。つまり、ボールを持った選手が常にまわりの状況を認知する事自体、ひとつのフェイントの効果となります。

トレーニングはシンプルです。コーンの真ん中にディフェンスを立たせ、そのオーガナイズを三箇所作ります。オフェンスの2人はそのディフェンス(ライン)を三箇所突破し、フィニッシュします。

リアリティーを出すために、抜かれたディフェンスは後追いできるようにします。こうすることで、ディフェンスを抜いた後もプレースピードを落とさない、ボールを前進することでプレッシャーが強くなる状況を作り出しています。

トレーニングのはじめは、ボールを持った選手がどちらのサイドにボールを運ぶかはっきりしていない、またはドリブルのスピードが遅い、という原因でなかなかフィニッシュに持ち込むことはできませんでした。何度かフリーズをかけ、プレーを修正していくことで、選手たちは徐々にフィニッシュまで行けるようになり、駆け引きの楽しさを感じていました。

高学年でもアナリティクストレーニングは大切です。ただし、それはプレーを円滑に進めるために必要な準備だと選手と指導者が理解する必要があります。

クリニックはまだ始まったばかり。継続することで、選手たちはインテグラルなトレーニングでもすぐに馴染むことができるようになると信じています。私も選手の成長に負けないよう、全力でインプット&アウトプットしていきます!

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協力:北斗スポーツクラブNOSS

キャンプサイト:OSO SFLサマーキャンプ2021

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Blog | 北海道北斗・函館の選手へ。私が故郷でフットボールクリニックをやる理由

今年3月からスタートした「フットボールクリニック北斗・函館」。北斗スポーツクラブNOSSさんのご協力を得て、継続的に開催しているこのクリニックですが、主催の隈崎(くまさき)がなぜ故郷にこだわるのかをご説明します。

自分には選択肢がたくさんある。それに気がついてほしい!

いきなりフットボールから話がそれますが、私は海外に行くお金を貯めるために、2年間ほど東京の学習塾でバイトをしていました。

中学生3年生を受け持っていて、彼らは受験に向けて一生懸命勉強に取り組んでいました。ある日、彼らが塾に来ると机の上にドーンと大きな本を置きました。それは、首都圏の高校の情報が載った受験案内の本。約1,500ページに渡って掲載されている高校から、彼らは志望校を決めなくてはなりません。

「あれっ、俺の時ってA4のプリントに市内の公立と私立の高校名があって、そこから2つ選ぶだけったような……。」

今の北斗・函館の中学校では違う形式で志望校を決めるかもしれません。インターネットの普及もあり、上記に挙げたようなギャップはないかもしれません。

それでもきっと、自分の意志で選択する回数や選択肢の数はそれほど多くないと思っています。

環境を諦める理由にしないで、情報を集める習慣を。

だからといって、住んでいる環境を理由に、自分の可能性を限定する必要はありません。

先程の受験の話であれば、今やインターネットで興味のある学校情報は、探せば探すほど出てきます。受験勉強の方法だって『YouTube』で優良な無料コンテンツが溢れています。

情報が来るのを待っているのではなく、自ら探して取捨選択し必要なものを取り入れていく習慣が大切です。

フットボールクリニックはイベント全体を通して、選択することを大切にしています。

このフットボールクリニックは、選択する大切さを大きく二つの種類で訴求しています。

一つはフットボールというスポーツのなかで選択すること。

フットボールは「社会の縮図」と言われるほど、社会性に通ずるスポーツです。そして、ピッチのなかでプレーをするのは選手ですので、自ら考え動くことで、フットボールの楽しさや本質を感じることができます。人(指導者)から言われたことをそのままするスポーツではありません。

ですが、自ら考えてプレーをするには、フットボールの理論を学び、体系的なトレーニングを積み重ねなければなりません。例えば、小学校低学年に多い「団子サッカー」。ボールに味方・相手が集まりにっちもさっちも行かない現象ですが、ここから徐々にフットボールに近づけるには、多くの事を学ぶ必要があります。「ゴールが向き合って置いてあるから、攻撃と守備に方向ができる」「ゴールに近づくほど、どこのスペースが広くなって・狭くなっているか」「目の前に相手がたくさんいたら、他の場所ではどんなことが起きているのか」……。単に「走れ」「声を出せ」「周りを見ろ」では、チーム(社会)のなかで力を発揮できる選手に成長しづらくなってしまいます。

そのためクリニックでは選手が考え選択を持ったプレーができるように、フットボールの原理原則を取り入れた体系的な指導プランのもと実施しています。

もう一つは自チーム外のクリニックを通して、選手の視野を広げること。

私はこのクリニックを良い意味で「異物」だと、選手に感じてほしいと思っています。

「なんだこの人?」
「スペインのフットボールってなに?」
「南米に行ったことあるの?」

選手にはたくさんの「?」を感じ、好奇心を持ってもらえるよう、あえて意識しています。普段の環境の外側に目線を移させるが狙いです。興味を持ってくれた選手の中で、「○○をやってみたい」と行動意欲が出てきてくれれば、このクリニックの価値が高まったといえます。

何か目標ができた時、環境を変えることは簡単ではありません。しかし、それは絶対に不可能ではなく、できるだけ早い段階で自らが行動できることによって、実現できる可能性が高くなることを知ってほしいです。

「フットボールで○○になった!」と言えるように。

フットボールを人生を豊かにするツールとして

私は29歳まで、結果を求める競技スポーツのフットボールと向き合ってきました。

そのなかで技術の向上をはじめ、語学を習得したり、世界中で友達ができたりと多くのことを学び得てきました。ときには挫折をして、「フットボールなんて!」と思ったこともありました。

現役を退いた後も、色々な人とフットボールを通して繋がっています。

繋がった人は人生の財産です。「ボール一つあれば」とよく言われますが、一緒にプレーをすることですぐに友達になれるのは、フットボールの大きな魅力です。

つまり、フットボールは「人を繋げる力」「自分を成長させてくれる力」を持った素晴らしいツール。あえて「ツール(道具)」と書いたのは、フットボールは誰でも気楽にできるスポーツで、すべての人が転がるボールの恩恵を受けられるからです。

私ははじめに「競技スポーツ」と書いていますが、本来は競技やエンジョイといった枠組みはなく、誰にでも平等にできるのがフットボールだと信じています。

「フットボールで友達ができた!」とか「フットボールで海外に興味を持った!」のように、このスポーツの存在で人生がより豊かになる。そのサポートを私は故郷にできたらと思い、活動しています。

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Blog | 色々なことに気づいていても言わない、引き算のコーチング

最近はありがたいことにパーソナルトレーニングの申し込みが続いている。特にフットボールをはじめたばかりの小学1年生。

この年代はもっぱらフットボールの楽しさを感じてもらう時期。「楽しいからうまくなりたい」の順序を指導者は遵守しなくてはならない。

それでもたくさん見えてしまう「教えたい事」。楽しいをベースに、選手が「フットボールを教わっている」と感じないよう、厳選したポイントをテンションを変えずに伝える。もしかしたらこの年代の指導が、一番難しいのかもしれない。

トレーニングの始まりも終わりも「楽しかった」で終わらせる

フットボールが楽しいのは、何度も何年もプレーしている人だからわかること。フットボールをはじめたばかりの子どもは、「楽しいなにか」を求めに指導者に近寄ってくる。このスタンスがずっと大切だと思っている。フットボール色にどっぷり使った人間と、真っ白なキャンバスの子どもでは、世界観が異なる。

なのでトレーニング(という言葉はこの文章ではもはや違和感だけど、便宜上このまま使用)で気をつけることは、終始子どもが楽しい時間を過ごせていたか。そのうえでフットボールに近づくための部分的な事を学び取ってくれたか。こう順序立てている。

トレーニングの全てのセッションで、子どもが満面の笑みでいてくくれば120点。

だが、なかなかそうならないので、始まりと終わりで「あー楽しかった!」となってくくれば及第点と、自分のなかで線引をしている。

後日、保護者の方から「家の中でもボール蹴ってますよ」とか「楽しかったようで、帰ったら爆睡していました」など話を聞くと、指導者としては心のなかでガッツポーツである。

トレーニングテーマだけに集中。それ以外は放っておく

「一を聞いて十を知る」と諺にあるが、それはやっている子ども側の話。教える側は「一を教えて一に留める」だ。

ラダーをやれば思い切り蹴飛ばすし、ボールを蹴れば明後日の方向。大いに結構だ、楽しければ良し。好奇心旺盛の子どもに、細かな指導を挟むのは、もはや制動。

瞬間湯沸かし器のように変化する子どもの感情。「今だ!」というタイミングで声がけし、こっちに集中を向けさせる。できるだけ短く簡素に説明して、すぐにトレーニングに移れるように工夫する。このタイミングにはすごい集中が必要。

フリーズさせてしっかりと教えることは、たった一つのテーマだけ。例えばインサイドパスだったら、それに関しては時間をある程度取って教える。でもそれ以外で「教えたい!」ということがあってもグッと耐えて「次回、次回」と自分を宥める。

フットボールは全てが繋がって複合的になっているので、一回のトレーニングで全てを教えなくても大丈夫。徐々にゆっくりと。成長のスピードは、子どもの自主性が成熟するに伴って加速していく。

なので、ボールが股をトンネルしたって、手でボールを触ったっていい、いいんだ。放っておこう。

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小さいことは気にするな、プレー、プレー、そしてプレーだ

そして最後はゲームでたくさんプレーをさせる。たくさんのゴール、たくさんの失点。喜びと悔しさを満遍なく味合わせる。ピッチの大きさ、ルールなんて大きな問題ではない。とにかくプレーをさせること。

口論もプレーの一つ。指導者が言葉をコントロールしながらコミュニケーションを取っていく。「口答え」は大人の反則技。しっかりと受け止める。

そして最後に「また、やろうね!」といってさよならできたら、楽しさのお裾分けの成功だ。

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Blog | 人が変わるために必要な、変わらないもの

OSO SFLは2021年4月25日(日)、神奈川県で活動するFC MATと共同で「超実践的! ボールの持ち方vsボールの取り方クリニック」を開催しました。

FC MATとは「スペインサッカークリニック」系でのクリニック開催はあったのですが、今回は隈崎が南米パラグアイでプレーしていた経験をもとに「対人」系の内容でした。

プロフェッショナルの試合では、一人の選手がボールに触れる合計時間が2〜3分と言われています。そのため、いかにプレーを優位に進めるためのオフ・ザ・ボールができているかが鍵となります。

対人プレーではそのオフ・ザ・ボールの質が顕著にでる局面です。いわゆる「良い準備」ができている選手がボールをキープでき、または奪うことができます。我武者羅に立ち向かうのではなく、相手と自身の特徴からどのように立ち回れば優位に立てるのかを考え、プレーをすることが大切です。

また、この過程があるからこそ「ボールを奪う楽しさ」「守備って大切なんだ」という感覚が芽生えてくると思っています。

こんな風に書いている私も、高校まで鼻を垂らしながらボールめがけて猪突猛進していました。そんな私が「守備ってこうやってやるんだ!」と意識が変わったきっかけがありました。

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高校時代の練習試合で、私に近寄ってきた相手の監督が教えてくれた事

高校一年生の時でした。

練習試合で数本試合をやった後、グラウンド整備をしていると背後から声をかけられました。「ちょっといいかい」。振り返ると相手の監督がニヤリとした顔をしながら話を続けました。「相手が(隈崎)の前で縦パスを受ける時に、どうやってボールを取ればいいかわかるかい?」。

突然の質問に、私はただ首を横に振りました。そうすると監督は表情を変えずに「こうするんだよ」と私の股の間に足を入れてきました。

「いいかい。君は体が大きいんだから、相手の股から足を出して(ボールを)突っつくんだ。それで相手のプレーが遅れるだろ?」

「はい」と私が返事をすると、その監督は歩き出し近くにいた自チームの顧問と話し始めました。

ほんの数分の一コマでしたがその頃から、相手に突っ込む守備から「どうやって上手くボールを奪いに行こうか」に意識が変化していきました。私の身長は185㎝です。日本人の中では大きな方なので、対人は強いと思われがちですが、あるレベルまで行くとそう簡単にはいきません。「どうやったら相手に勝てるか」のトライ&エラーを数え切れないほどトレーニングしてきた選手は、あらゆる状況下でも優位に立つ解決策を見つけてきます。

あの監督に言われた記憶は、なぜか鮮明に覚えています。対人や守備のスキルは南米でプレーしていた時に一番変化したのは間違いないのですが、そのベースにあったのは高校時代でした。

私はフットボールクリニックを開催していますが、時折、チームやスクールを引き合いにクリニックの意義について考えます。そして行き着く先はいつも、この監督とのシーンです。自分たちの監督でもないし、毎日会うわけでもない。だけどたまたま、その一言がきっかけで私は変わりました。だったらクリニックも普段チームでプレーしている選手が隈崎と会ったことで、何かの意識が変わってくれれば、その後時間が経つに連れ、徐々に大きな成長になっていくのではないか。

フットボールにおける伝統や伝承とは、繋がりと成長を作り出すもの

私が体験したことをさらに考えてみると、スポーツ然りフットボールの伝統や伝承と言われている本質とは「人と人が繋がって、成長するためのきっかけ」なのではないかと考えています。

私が見聞きする育成事情では「急速な間隔でアップデートされる指導理論やスポーツ科学を活用しながら、無駄なく円滑に選手を成長させる、または教えていくかが大切」ということが、よく取り上げられています。それはとても重要で、ハード面を含め選手が高みを目指せる環境構築に大賛成です。

ただ、「昔ながらの」とか「伝統」といったものが、本質を見ずにNGのレッテルを貼られてしまう空気を感じることがあります。

しかし、人が変わるきっかけは、やはり人が作り出すもの。それが「伝える」という原始的でありながら、今までの人類発展に欠かせない普遍的なものである以上、フットボール発展でも必要不可欠な要素です。

フットボールのプレーでも指導でも様々なものが変化していきますが、「人が変わるために変わらないもの」も大切にしていきながら、これからも活動していきたいと思います。

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Report | HAKODATE HOKUTO FOOTBALL Pre-CLINIC

2021年3月20-21日、北海道北斗市でHAKODATE HOKUTO FOOTBALL CLINIC vol.1を開催し、メインコーチを務めました。

小学1年生から6年生までを対象に多くの選手に参加いただきました。

動画は記事最下部

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教育実習で出逢った教え子との再開。クリニック実施に向けての準備

OSO SFLとして本格始動した2021年。事業の本丸として取り組もうと思っていたのが「函館・北斗で継続的にフットボールイベントを行うこと」でした。

2019年にラ・リーガ1部のレバンテU.D.のカンテラ監督を招聘して、フットボールキャンプを開催しましたが、コロナウイルスの影響で再び開催することが困難になりました。

ただ、子どもたちの成長は待ってくれません。そして、実行しなければ何も始まらないので、ある方に相談しました。その方とは北斗市にある「北斗スポーツNOSS」でフットボールを担当している岩谷コーチ。実は岩谷コーチは、OSO SFL代表・隈崎が教育実習で母校に戻った時にいた生徒でした。※北斗市は函館市の隣りにある市。北海道新幹線が止まる新函館北斗駅があります。

相談したところクリニック開催に快諾いただき、実施に向けて何度も打ち合わせを行いました。北斗スポースNOSSの事務局の方にも柔軟にご対応いただき、本当に感謝しております。

今年は函館・北斗もまあまあの積雪があり、今回は体育館での開催となりました。「秋までグラウンド、冬から体育館」が北海道スタイルなので、私自身、懐かしさを感じながら準備に当たりました。

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左はフットボール、奥は新体操、右はバドミントン。冬でもスポーツ活動は活発に行われています。

元気で人懐っこくて純朴な子どもたち!

クリニック初日、はじめは小学1、2年生の部からスタート。岩谷コーチから紹介されて挨拶すると、すぐさま子どもたちが話しかけてきます。

この距離感がとても大好きで、函館や北斗の子どもたちの特徴だと思っています。本当に人懐っこくて純朴なんです。親戚の家に遊びに行った時、ときどき「函館の人って真面目で優しいからさ〜」と話題に出ることがあります。ゆったりした環境で子どもが伸びのび育つことで、そんな人柄になるのかなと思っています。

また、高校の先生たちとお話する機会がありました。そこでは「函館や北斗ではフィジカルが優れている選手がたくさんいる」と。これもきっと環境が大きく影響していると思います。これは私が10年以上前から感じていること。先生たちも同じように思っているので、これは間違いない事実でしょう。

後は、フットボールに対する理解を深め、新しい刺激を享受する機会を幼い時から継続的に提供することで、子どもたちはより多くの可能性を見出だせるはず。

子どもたちと接するなかで、「もっと良い指導をして、子どもたちの能力を高めていきたい」と強く感じました。

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初対面でも人懐っこく話しかけてくるところが素敵だな

慣れないトレーニングでも、徐々に理解していく選手たち

あえて慣れない(やったことのない)トレーニングを実施した理由

トレーニングの目的は、全学年共通して「試合の局面で発生・消滅するスペースを見つける」こと。チームでボールを保持して有利な状況を作り、フィニッシュのシチュエーションに持ち込むために必要な「見る」ことに焦点を当てました。

事前のリサーチから、準備したオーガナイズだとトレーニングが「止まる」だろうと予測していました。ただ、それでもいいと割り切って指導に挑みました。

そつないトレーニングをすることも可能でした。周りから見れば、選手が動きを止めずにプレーしている方が「良い」と思う場合もあります。それでもあえて、私は選手が頭を悩ます場面ができるトレーニングをオーガナイズしました。

なぜかというと、よく言われる「考えてプレーする」の「考える」作業を当クリニックで体感してほしかったからです。そのためにトレーニングでは考えるための「材料」を何度も確認しました。

材料とはフットボールで言えばボール・ゴール・味方・相手・スペースを主に指します。選手はそれぞれの材料がどこにあってどんな状況なのかを確認し、考え、プレーします。これはプロフェッショナルの選手でも難しく、エラーが起こります。

この考える材料が見えてくると、フットボールがチームスポーツで、個人ではできない素晴らしいプレーが理解できてきます。

では、こういったトレーニングはいつから始めればよいのか。それは小学生から行うべきだと考えています。海外では同年代の選手がクラブや遊びのなかで学んでいます。オーガナイズの工夫で、小学生でも十分にトレーニングが可能です。

トレーニングに慣れて理解しはじめた選手たち

トレーニング開始時は、慣れない内容に戸惑う選手がいました。それでも根気強く続けるけることで、選手たちは徐々に理解し素晴らしいプレーがいくつも生まれました。

ゲームでは「おっ!」と唸るナイスプレーがいくつも出て、教えている方も嬉しかったです。その変化は一瞥しただけでもわかり、トレーニング終了後「教えたことを忘れないでくれ〜」と強く思ってしまいました。

選手の様子がこのように変化するほど、嬉しいことはありません。

一生懸命トレーニングに打ち込んでくれた選手は、本当に素晴らしかったです。

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トレーニングのはじめはコーディネーションから

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二日目。問いかけに元気よく答えてくれて教え甲斐がありました

大切なのは継続すること。月1回ペースでの開催に向けて準備

あっという間の二日間でした。

子どもたちからは「楽しかった〜!」と言ってもらい安堵しました。何人かの保護者の方からは「またやってほしいです」とお言葉をいただき、これまた嬉しかったです。

本当に継続して行っていくことが大切だと思っています。お力添えいただいた北斗スポーツNOSS様とともに、今後は月1回のペースで開催していく予定です。

子どもたちの人生のなかでは、一時の出来事に過ぎないかもしれません。しかし、その一時によって子どもたちがフットボールをはじめ、豊かな生活が送れるよう、これからもOSO SFLは函館・北斗での活動を続けていきます!


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北斗スポーツクラブNOSS

Report | FC MAT SPECIAL CLINIC 2021 vol.3

2021年1月24日、神奈川県大和市でFC MAT SPECIAL CLINIC2021 vol.3を開催し、メインコーチを務めました。

今回は小雨が降って寒いなかでのクリニックでしたが、参加いただいた選手は最後まで集中してトレーニングしてくれました!

動画は記事最下部

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フィジカルトレーニング編 | 4つのステップドリルで体を刺激!

小雨のため、先にフィジカルトレーニングを行いました。神経系のトレーニングは心身がフレッシュな状態で行うことベストです。

ステップの向上を目的とした4つのステーションでのトレーニング。脚を投げ出さずにつま先でしっかりと地面を押し、体全体で反発力を受けることを第一のポイントとして伝えました。ステップは体の安定と不安定の高速切替なので、体幹が大切です。そのため、姿勢を正すことも上手くステップ踏むポイントとなります。

選手たちは、ゆっくりとした動作からはじめ、慣れてきたら徐々に足の回転を上げスピードアップを狙います。ジュニア期は何度も反復することが特に大切ですが、同時に一回ごとの動作が正確に行われているか確認することも同じくらい重要です。

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スペインフットボール編 | ビルドアップからゲームメイク局面のプレー精度を高める!

スペインフットボールでは、最終ラインから中盤へボールが渡った時に、どのように崩しを入れるかがテーマです。ボールを循環(回)しながら相手FWラインとMFラインを超えるためのポジショニングや、トップが張っていない時にできる崩しのアレンジをみっちりやりました! 

ピッチが濡れてボールコントロールが難しく、思うようなプレーができない状況もありましたが、トレーニング終盤では壁パスでの突破やDFを引きつけてパスラインを形成したりと、意図を持ったプレーを確認できました。

こういったプレーのバリエーションを選手が認識することで、フットボールはより楽しくなります。さらに、導入で行うパストレーニングもプレーを正確に行うために必要だと感じてくれたら文句なしです!

次回は2021年2月21日(日)に開催予定です。改めて詳細をアナウンスいたしますので、よろしくおねがいします。

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Report | FC MAT SPECIAL CLINIC 2020 vol.2

2020年11月8日、神奈川県大和市でFC MAT SPECIAL CLINIC2020 vol.2を開催し、メインコーチを務めました。

前回に引き続き、たくさんの選手に参加いただきました。ありがとうございました!

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スペインフットボール編 | 技術と戦術は表裏一体であることを体感

先のお知らせでも書いたように、技術と戦術は切っても切り離せない要素同士です。それを何とか体感してもらうためにクリニックでは、ジュニア選手が大好きなドリブルに主眼を置いてオーガナイズしました。

ドリブルを用いれば、ボールを運んだり、時間を作ったり、そして相手を抜いたりと多くのプレーを表現できます。指導する側としては、ドリブルを選択するならば、状況によってどのような目的を持つべきかを体系的に理解してなければなりませんが、選手、しかもジュニア年代に頭ごなしに伝えるのは無謀です。

ですので、今回のクリニックではピッチを守備・中盤・攻撃の3ゾーンに分割し、それぞれのゾーンで起きてほしい現象を作り出して、選手がプレーの選択の大切さに気がついてくれればと思いトレーニングを作成しました。

ここで少し話が脱線しますが、セレクションを行わず誰でも参加可能なチームの場合、選手間にレベルの差が生じてしまいます。この状態でトレーニングを行っているチームで、「技術と戦術問題」に頭を悩ませている指導者は多いのではないでしょうか。クラブの体制や所属選手の人数の関係で、チームを安易にセグメントできない事情は、一朝一夕では解決できません。

クリニックも当日にならないと各選手のレベルがわかりません。それでも伝えたいテーマをズラさずに、参加してくれた選手にあったオーガナイズに修正しながら、トレーニングを進めていきます。

ただ、初回と今回のクリニックを通して私が感じたのは、「そこまで指導者が神経質になる必要もない」ということ。それはプレーをしている選手目線で考えた時、彼らは技術と戦術の関係性をそこまで気にしていないはずだからです。例えば、「ドリブルができないからフットボールができない」とプレーを放棄する選手は、特別な事情がない限りいないからです。選手はまず、「ゴールを決めたい」「相手を抜きたい」「勝ちたい」といったワクワクする感情でプレーをしています。

こういった選手目線で考えると、フットボールを教える指導者が、指導で煮詰まった時に見るべきものは、トレーニングや試合で「選手が直向きに楽しくボールを追いかけているか」に、目線を移すことが大切なのかなと感じました(もちろんチーム環境は見直し続ける必要はありますが)。

とはいえ、クリニックではしっかりと選手に刺激を与えてレベルアップしてほしいので、さきほどお話したトレーニングオーガナイズでは、守備と中盤のゾーンを中心に次のことをポイントとして行いました。

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守備 | パスを循環させながらパスラインを見つける

最終ラインを想定したポジションで、GKを含めたボールポゼッションを行いながらビルドアップを伺うシチュエーションを再現しました。

数的有利にしてボールポゼッションのストレスを和らげる代わりに、相手FWラインを突破するためのパスラインを見つけるように促しました。高学年ではパスラインを突破できなくてもボールポゼッションを「辺ではなく、面で行う」ように強調。俗に言う「無駄パス」が存在する理由をプレーで体感してもらいました。

中盤 | 極端に幅と深さをとり、ターンをせずに前を向く

今回のクリニックで一番要求が多かったのが中盤ゾーンです。

「選手輸送指導」で選手に気づきを与える

「スペースを作れ」と口では簡単に言えますが、プレーする選手にとって瞬時に再現するのは難しいことです。スペースを作るには、幅と深さを意識しながら動くことが大切ですが、指導者が言う「もっと大きく、広く動いてみよう」の大きくと広くを、選手が掴めていないことがあります。

そのような時、私はオンプレーでも選手を動いてほしい場所までヒョイと持っていきます。ジュニアの選手なら軽くて簡単です。「えっ、ここまで!?」と驚きながら動かされる選手をよそ目に、私は見てほしい場所に指差すと、選手が元いた場所に明らかなスペースができています。

本来はここまで大げさに行わなくても場合がありますが、指導の目的は選手の気づきなので、これくらい方がインパクトがあって効果的です。これはスペイン人コーチの通訳をしている時に彼が行っていた手法で、私は指導を受けている選手の表情を見て「これは良い!」と感じたことから取り入れています。

「斜めのパス」を行う理由をプレーで見せる

前の選手にボールを当てる場合は、斜めのパスが効果的であると言われていますが、トレーニングを通して理解しもらいました。斜めのパスを行う理由として、「ボール・人・スペースの視野確保」もひとつですが、ここでは「できるだけ早く前を向く」に注目させました。

中盤ゾーンの選手が攻撃ゾーンに侵入するには、「ターンをしてはいけない」というルールを追加。はじめ選手は「えー」と驚いていましたが、「パスを受ける時にどんなことをした方がいいかな?」という問いかけから、「斜めのパスを受けられるポジション」まで突き詰めることができました。そこから「斜めでパスを受けるとターンする必要がある?」と言うと、「あっ! ない!」と笑みをこぼしながら答えます。こういった問いかけを行い続けることで、効果的なプレーの原理が実体験のなかで理解できるようになります。

高学年では斜めのパスに加えて、「相手を背負った状態で前にパスを出すには?」というテーマをおまけで追加しました。奥行きの動きをもう少し意識させたかったので、ボールを受けた選手が落とすボールに味方の選手がギャップで入り、縦に当てるコンビネーションプレーを再現させるのが狙いです。言葉に出すと選手に情報過多で困惑すると思い、その場では伝えませんでしたが、「ターンせずに前を向く方法はグループでもできる」というのが狙いです。

南米フィジカル編 | ローテーションの中にメリハリを付けたトレーニング

南米フィジカルトレーニングでは、5箇所のステーションをローテーションしながら行いました。

「やる」と「抜く」のメリハリを重視

ステーションで行う動作は100%で行い、次のアジリティーに向かう時は歩いて呼吸を整える。このメリハリを伝え続けました。力の出しどころで思い通りのパフォーマンスを行うには、出力前のリラックスとの差が重要です。また、リラックスは筋や心肺の回復をサポートするので、これまた大切です。

ローテーションで連続的に行うことで、実際の試合の状況に近づけています。「試合中、足を止めない」とよく言いますが、こういった複合的なフィジカルトレーニングを入れることで、選手自身がリズムを作りながら、フルタイムを戦える身体になっていきます。

トレーニングの合間にアクティブストレッチ

トレーニングの合間にはアクティブストレッチを入れました。静的なスターティックストレッチは、筋出力が落ちてしまったり、フットボールで使う身体の動作からかけ離れているので、現在ではトレーニングや試合前には行わないようになっています(医者からのアドバイスや精神的安定が理由で行うことはあります)。そのため、筋の収縮を実際のフットボールの動作に近づけた形で行う動的なアクティブストレッチの登場です。クリニックでは特に、上半身と下半身の連動の鍵を握る股関節周りを中心に取り組みました。何人かの選手は股関節に体重を乗せた時、バランスを崩してしまっていたので、伝えた方法を継続的に行い改善してくれればと思っています。

最後はボールを使ったスピードトレーニング

最後はピッチ全面を使ったスピードトレーニングです。ラダーでステップを行った後、バランスディスクでランジ。その後は30mほどポールをスラロームしながら加速し、ターンをして素早く戻ります。戻り際にコーチからボールが配給されるので、それをリターンしてスタートに戻る、といった内容です。

はじめに行ったトレーニングを異なり、これはスタートポジションで2〜3分ほどレストの時間があります。爆発的なパワーの向上を目的としていますが、こういったタイプのトレーニングはなかなかやる機会がないと思いますので、選手にとっては新鮮だったのではないかと思います。

結構なロングランですが、ポールやボールを使って実践に近い動きと楽しさを加えることで、選手たちは最後まで集中して取り組んでくれました。

最後は出したい現象が出て一安心。次回は2021年1月開催予定

低学年と高学年のクリニックを終えた後は 、「出したい現象が終盤で出てよかった!」と胸を撫で下ろしました。選手たちは慣れないトレーニングを理解するだけも素晴らしいのに、もっと上手くなりたいという意識が、用意したトレーニングをより洗練されたものにしてくれました。これには、本当に感謝しています。

FC MATが運営をする私のクリニックの第3回は、年をまたいで2021年1月開催を予定しています。

継続してきてくれる選手にはより深い思考力を、初めて参加する選手は新しい刺激を提供できるように準備しますので、乞うご期待ください。


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Notice | FC MAT SPECIAL CLINIC Vol.2 on 8 November 2020

OSO SFLは2020年11月8日(日)、神奈川県海老名市で活動するFC MATと共同でフットボールクリニックを開催します。

1部 スペイン式トレーニング

3セッションの内、2つはスペイン式トレーニングです。日本のフットボール現場で浮上する「技術が先か、戦術が先か」議論ですが、OSO SFLではその垣根を払拭したトレーニングを行います。

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技術と戦術は切っても切り離せないが、「日本」フィルターを通す必要がある

全ては試合のためにフットボールを考察しているか

結論から言うと、技術と戦術は相互関係で成り立っているので切り離せません。先に技術について考えると、これは「2対1のとき、オフェンス2人の内、ボールを持っている選手が行うアクション」を指します。ボールを持った選手は、味方・相手・スペースなどの状況から、抜くドリブル・運ぶドリブル・人へのパス・スルーパス……といったさまざまなアクションを選択しなければなりません。そしてこのアクションを思考することが「個人戦術」と言えます。

反対に、味方も相手もスペースもない状態でボールを触ることは、技術とは言いません。もちろん、言葉で説明していることですので、人によって技術の概念はさまざまです。大切なのは試合で生きるトレーニングを考察しているかです。

どの国のどのメソッドでも良いが、すべてはピッチにいる選手のために

そして、日本でフットボールを広げるには、技術と戦術を大切にしつつ、フットボール初心者や小さな子どもが「楽しさ」を感じながら、徐々に本格的なトレーニングに移行できるよう、段階を低く細かく設定する必要があります。ですので、コーンやマーカーを使ったドリル形式のトレーニング、対人で投げたボールを返球する基礎練習にも役割があります。大切なのは、そういったトレーニングで培ったものと技術・戦術トレーニングを繋げていくことです。

また、OSO SFLではスペインフットボールの考えを多く取り込んでいますが、参加する選手に、そのままの内容(表現またはオーガナイズ)では伝えていません。なぜなら「これがスペインでは常識」「これが○○のメソッド」と押し付けても、歴史も文化も違う異国のフットボールをいきなり理解することは困難だからです。

クリニックでは、当日にならないと選手達のレベルがわかりませんし、同じとも限りません。OSO SFLでは、準備したオーガナイズでトレーニングをはじめますが、その最中に選手達の様子を把握して、より効果的なオーガナイズに調整します。時にはまったく異なるオーガナイズにすることもあります。ピッチに立っている選手が、その時に必要なことを最大に吸収してもらえること、それがOSO SFLの指導ベースです。

2部 南米式フィジカルトレーニング

残りのセッションは南米式フィジカルトレーニングです。前回に引き続き、トレーニング全体の流れを意識した内容でお届けします。南米のフィジカルトレーニングの特徴は、走る・止まるといったアクションと、身体をリカバリーさせる小休止のメリハリがあることです。そのトレーニングの目的がエアロビクスなのか、アネロビクスなのか、それとも双方をミックスさせたものなのかを明確にして、さらにフットボールのシチュエーションに落とし込んでいきます。

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南米フットボールはフィジカルが重要視されている

南米では、監督が選手のコンディションをフィジカルコーチに託している割合が、欧州より強い印象があります。ウィークリーのオフ明けのトレーニングでは、監督がまるっとフィジカルコーチにオーガナイズを任せることもあります。

南米フットボールの土壌がフィジカルを大切にするのは、いくつか事情がありますが(別の機会で詳述予定)、「上手い」と「強い」を兼ね揃えた選手でなければ生き残れないことが最大の理由といえます。

また、プレーにおける強さがフットボールの象徴のひとつとして、国民からリスペクトされている風潮も、南米がフィジカル面を大切にしているのかもしれません。

新しい刺激で心身をレベルアップ!

クリニックでは、そんな南米式フィジカルトレーニングで新しい刺激を感じてもらうことを目的としています。

それは「新しい」という新鮮さであったり、「やりにくい」というぎこちなさであったりさまざまです。そうした刺激を継続的に頭と身体へ与えることで、バランスの取れた身体の成長を促します。

特に神経系が未発達な時期であるジュニア期においては、多角にわたり刺激を与えることが重要です。これは筋肉をつける、柔軟性を高めるといった単一的なものではなく、それらすべてを総動員させてパフォーマンスを向上させることが目的です。

日本人はフィジカル面において伸びしろがある

日本人は欧米人と比べて「骨格が小さい」「筋肉量が少ない」など、フィジカル要素で劣っていると言われています。それは紛れもない事実です。しかし、だからといってフィジカルで勝てないと結論づけるのは時期尚早です。なぜなら、まだ日本人のフィジカル面は向上の余地が多く残っているからです。

ジュニア期からのフィジカルトレーニング、コンディショニング、生活習慣などを見直せば、多くの改善点があるからです。それらをやりきった後にはじめて、比較論を唱えて行けば良いと思っています。つまり、人種のポテンシャルをどうすれば良いかを考える前に、日本人としてハイパフォーマンスを可能にするための試行錯誤をやり尽くすべきです。

クリニックでは、そんな自分の「伸びしろ」を発見する機会になるように、面白く、リズミカルで、刺激的な時間をお届けします。

クリニックの概要・申込みは運営協力クラブ・FC MATのサイトからご確認ください。

FC MAT

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Report | FC MAT SPECIAL CLINIC 2020

2020年9月20日、神奈川県大和市でFC MAT SPECIAL CLINIC2020を開催し、メインコーチを務めました。

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FC MATの監督とは十年来の再会

FC MAT(マット)の監督の志水麗権さんとは、私が大学生の時に故・藤川孝幸氏が行っていたスクールで出会いました。その時に志水さんは「僕は指導者になりますよ」と言っていたのを覚えていました。

それから十年以上が経って、フェイスブックで志水さんがFC MATを立ち上げて監督をしているのを見て、連絡は取り合っていましたが、実際に会うことはなかなかできず……。

ちょうどその頃、私自身がフットボールのインプットばかりで「そろそろ自分でも子ども達にフットボールを教えなくては!」と思い、たまたま志水さんにそのことを連絡をしたら気持ちよく「やりましょう!」となり、トントン拍子で実現してしまいました。

最後まで悩んだオーガナイズ

いざやろうと思った日から、毎日トレーニングのオーガナイズを考える日々。チームでのトレーニングならば、どのようなオーガナイズにしようか指針が建てられるので良いのですが、クリニックはどんな子どもがくるか当日までわかりません。子ども達にフットボールを楽しんでもらうためには、どんなオーガナイズを施せばいいのか、試行錯誤はクリニック前日まで行いました。

それでもクリニックをやりたいと思っていた当初から「フットボールに必要なジェネラルな思考を体験してほしい」という軸はぶらさず、できるだけシンプルな内容になるように努めました。

ジェネラルとは「一般の」「総体的な」という意味で、反対語はスペシャルです。トップの選手は飛び抜けた「武器」があります。

しかし、そのスペシャルな武器を使いこなすには土台が必要で、それがジェネラルに当たります。「ディフェンスラインでボールを持っている時、目の前に5人の相手がいたらドリブルで仕掛ける?」という質問には、子どもでも首を横に振ります。が、実際の試合では結構それに近いプレーを行う選手がいます。

つまり私が子ども達に教えたいのは特別なことではなく、考えてプレーするための「イチ」を作れるきっかけ作りです。

また、今までやったことがないトレーニングにも挑戦してもらい、あえて「ぎこちなさ」を体感してほしいとも思いました。一般的にトレーニングで選手たちが「えーと」と考えて、円滑に進まない時があります。もちろんフォローは必要ですが、そのまるで止まったかのような空間に耐えられず、勢いでトレーニングを進行することは絶対にやってはいけないと思っています。

案の定、低学年の導入のトレーニングで上手くできない選手がいましたが、粘り強く続けることで、徐々に理解しているのが見えました。

思い入れが深いフィジカルトレーニング

クリニック最後のセッションは私が南米で体験したフィジカルトレーニングをアレンジしたものを行いました。南米に限らず、フィジカルトレーニングは私のなかでとても大切なファクターです。

子どもの時から背は高かったですが、体幹やリズム感といったフットボールに必要なフィジカル要素が欠けていたのをその時から感じていました。また、体の線が細く撫で肩なのもコンプレックスでした。

なので中学生から筋トレは人一倍やりましたし、高校と大学ではとにかくウエイトトレーニングをやりました。そして南米では、試合でその成果が実感できる、まさに生きたトレーニングを体感しました。

よく、日本人を含むアジア人は欧米の選手と比べて骨格が小さいとか、筋肉量がないとか言われますが、まだまだトレーニングで改善の余地はあります。しかもそれはトップ選手や限られた選手だけでなく、すべての選手ができると信じています。

クリニックで行ったトレーニングは、そんなフィジカルの大切さを楽しく体験してほしいと思い、これまた子ども達がやったことがないようなオーガナイズにしました。必ずボール扱いを伴いフットボール要素を取り入れつつです。

最後のバランスボールを使ったトレーニングでは、みんな楽しく取り組んでくれたようで、笑顔でクリニックを終えることができました。

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継続が大切

クリニックが終わり、志水さんと反省会を行いました。

結論として「クリニックを継続させる」ことになりました。子ども達には良い刺激になったけど、浸透させるにはやはり継続して行うことが大切だと。

なので、できるだけ早く第二弾を行いたいと思います。その時は今回よりもっと子ども達の笑顔を引き出せるように頑張ります!

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FC MAT