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環境を言い訳にしない。道南の選手が地域トレセン合格までに積み重ねた3年間

OSO SFLが道南で活動を始めてから、6年が経ちました。

これまで、さまざまな地域・クラブの選手たちと関わらせていただき、その中で多くの成長を見てきました。

その中でも今回、特に嬉しいニュースが届きました。

3年前からOSO SFLのクリニックに参加してくれている選手が、地域トレセンに合格したのです。

OSO SFLとしては、トレセンに合格すること自体を最終目的とは考えていません。
あくまでも選手の成長過程における一つの通過点であり、合否だけで一喜一憂するものではないと考えています。

それでも、今回の合格は私にとって特別な意味を持つものでした。

なぜなら、その選手が置かれているサッカー環境を考えると、この挑戦は決して簡単なものではなかったからです。

その選手が暮らしている地域は、人口約4,500人ほどの町。
函館からは約110km離れており、町にはクラブが一つしかありません。

函館出身の私でさえ、本州とのサッカー環境や競技レベルの差に戸惑いを感じた経験があります。
そのことを考えると、その選手が地域トレセンに挑戦し、合格を掴み取ったことは、とても大きな意味を持つ出来事でした。

実は、昨年もトレセンに挑戦していました。
しかし、その時の結果は落選。

本人にとっては、とても悔しい経験だったはずです。

そこからもう一度前を向き、挑戦を続け、今回の合格につなげた。
その過程を近くで見てきたからこそ、私も単なる「通過点」として片づけることはできません。

月に一度のクリニックから始まった濃い時間

ここに至るまで、私とその選手はかなり濃い時間を過ごしてきました。

月に一度開催している「北斗|函館フットボールクリニック」で私が函館に滞在している時には、一緒に寝泊まりをしながら、目標設定やトレーニングに取り組むこともありました。

春休みには、スペイン遠征にも二度挑戦しました。

外から見ると、
「そこまでやる必要があるのか?」
と思われるかもしれません。

正直なところ、どこまで関わるべきかに絶対的な正解はないと思っています。

ただ、一つだけはっきり言えることがあります。

選手本人も、保護者も、そして私自身も、本気でサッカーに向き合っていたということです。

「たかがサッカー、されどサッカー」

子どものサッカーにそこまで向き合う必要があるのか。
そう思う人もいるかもしれません。

しかし、私はその声を気にしませんでした。

「たかがサッカー、されどサッカー」。

その選手が少しずつサッカーに熱を持ち始めていることを、保護者も私も感じていました。

最初からすべてを選手本人の意思に委ねていたら、もしかすると何も進まなかったかもしれません。

サッカーが日常の中に当たり前にある環境であれば、また違ったかもしれません。
しかし、そうした環境が十分にあるわけではない。
それでもサッカーが大好きで、もっと上手くなりたいという想いがある。

だからこそ、まずは「サッカーってこんなに面白いんだ」「ここまで本気で向き合えるんだ」と感じられる体験を、継続して届ける必要がありました。

保護者と私は常にコミュニケーションを取りながら、今の関わり方が本人にとって必要なものなのかを確認し続けてきました。

最初は、周囲の大人がサッカーに向き合える環境をつくり、その中に身を置けるようにする。
そこから少しずつ、選手自身が自分の意思で感じ、考え、行動するようになっていく。

今、その選手には確かな変化が見えています。

世界を経験しても、日常を変えることは簡単ではない

とはいえ、体験したことがすぐにピッチ上で表現されるほど、サッカーは簡単ではありません。

たとえスペインでカンテラのチームと試合をしたとしても、日本に帰ってきた後、日常の中で常に「世界基準」で物事を考え、行動し続けることは簡単ではありません。

むしろ、そこが一番難しい部分だと思います。

それでも素晴らしかったのは、保護者が選手とサッカーについて何度もコミュニケーションを重ねていたことです。

そして私が実際に会える時には、その時の彼に必要な内容をできる限り見極めながら、トレーニングを提供してきました。

保護者は時間をつくり、100km以上離れた函館のサッカースクールにも通わせていました。

そうした一つひとつの積み重ねの先に、今回の地域トレセン合格があります。

だからこそ、私は今回の結果を単なる通過点とは思っていません。

住んでいる環境に左右されず、本気で向き合って掴んだ勲章

良い環境で努力をすれば、成果を掴める確率は高くなります。

もちろん、良い環境にいる選手たちにとっても努力は必要です。
しかし、環境が十分に整っていない地域では、努力を始める前に、まず「努力できる環境」をつくるところから始めなければなりません。

これは、選手一人の力だけでできることではありません。

保護者の理解、時間、移動、継続的なサポート。
そして、選手自身の気持ち。

そのすべてが重なって、ようやく前に進み始めます。

今回の合格は、単にトレセンに受かったという結果ではありません。

「住んでいる環境に左右されず、本気で向き合うことで掴み取った」

その事実こそが、彼にとって大きな勲章だと思います。

途中で悔しい思いをしても、うまくいかない時期があっても、方向性を確認しながらやり続ける。
その積み重ねが、少しずつ選手の力になっていったのだと思います。

道南のサッカー環境に、これからも選択肢を届けたい

今回の出来事は、OSO SFLが道南で続けてきた活動が、選手にしっかり還元されたと感じられる大切なエピソードでした。

環境がないからできない。
地方だから難しい。
人数が少ないから仕方がない。

もちろん、現実的な難しさはあります。

それでも、本気で向き合い、できることを積み重ねていけば、少しずつ形になっていく。

今回、そのことを一人の選手が証明してくれました。

この出来事を、同じような環境にいる選手やご家族、そして地域にも届けていきたいと思います。

OSO SFLはこれからも、道南の子どもたちにサッカーを通じた成長の機会を届けられるよう、活動を続けていきます。