山梨県アルプス市にて2020年8月22日(土)、スペインからラ・リーガ1部レバンテUDと公式日本代理人である尾崎 剛士(おさき つよし)さんを招聘して、フットボールクリニックを開催しました。
目次
トレーニングスタートから試合の局面を切り取ったオーガナイズ
各カテゴリーのトレーニング時間(アクティブタイム)は約1時間半でしたが、緻密に組み立てられたセッションには無駄がひとつもありませんでした。
小学2、3年生の部ではパス&コントロールのトレーニングからスタート。単なるボールを止めて蹴るといったものではなく、方向づけられたコントロール、落とし、ギャップの動き、パス&ムーブといった試合の中で現れるプレーを連続的に行うオーガナイズ。
はじめての体験に、上手くできない選手も、トレーニングのローテーションについていくのがやっとの選手もいました。
だけどその「ぎこちなさ」を体験してほしかった。こういったトレーニングに慣れていくことが大切だと少しでも気づいてくれれば嬉しいと思いました。
たとえ技術が低くてもやることが大切
トレーニングを見守りながら、今回運営をしていただいたフットサルクラブ WINGの代表・高部聖さんと話していたら、「こういったトレーニングは大切なことはわかるけど、止める蹴るがまだ上手くない選手たちにもさせたほうがいいのか?」という話題になりました。
指導している人なら一度は考えたことがあるテーマですが、私も以前、今までにいろいろな海外の指導者に聞いたことがありました。
答えは十人十色でした。
スタイルやその文化が異なる故、海外のフットボール事情と日本のそれを同じに考えること自体がナンセンスだということに気がついたのは、それからしばらく後のことでした。
言えることとして、例えば二人一組で対人になって行うパス&コントロールも、今回尾崎さんが行ったオーガナイズも、どちらも選手にやらせることが重要だということです。
そこは、チームを指導しているコーチが決めていいと思いました。
ただ、なぜ尾崎さんしかり、スペインではこういったパス&コントロールのトレーニングが多いのかというと、動きを伴わず足元にボールを止めて蹴るという動作は、主にGKやCBが試合中に足元に止める場面で使われており、全ポジションの選手のプレーの中で考えると、この類のパス&コントロールはフルタイムのなかで数パーセントしか使っていません。
そう考えると、パス&コントロールがある程度できる選手たちに、どんなパス&コントロールのトレーニングをさせてあげるべきかは、自ずと見えてきます。
短いけどわかりやすく、引き込まれる選手たち
尾崎さんの指導を見ていて感服してしまうのが、選手への話し方。
伝えている内容に特別なことはありませんが、言葉の選び方だったり、選手の表情を見ながら発言するタイミングを見計らったりと、選手たちは気がつくと、尾崎さんの話に耳を傾けてしまいます。
現役でスペイン選手に指導をしていることもあり、「選手にわかりやすく、そしてどうやったらこちらに顔を向けてくれるのか」という試行錯誤の数、そして経験値がすこぶる高いことが伝わってきました。
最後のゲームでは大人も驚くプレーも現れた
トレーニングの最後はゲームでした。
今までトレーニングした成果があり、選手たちが組織的にボールを運ぶシーンが所々見られます。
午後の部では完璧なタイミングで3人目が動いて相手守備を崩す場面があり、これには尾崎さんと一緒に笑顔が溢れました。
「今のプレーはプロでも通用するぞ!」
尾崎さんがかけた言葉に選手もニッコリ。選手自身もきっと「あっ、今のプレー、いい感じだな」と体で感じてくれたはず。
本当にあっという間にクリニックは終わってしまいましたが、とても内容の濃いトレーニングを選手たちにお届けできたと思います。
このクリニックは選手たちのフットボール人生のほんの小さな出来事に過ぎません。ただ、その「ほんの」が今後の糧になってくれれば本望です。
クリニック開催に当たり、素敵な時間を作っていただいた尾崎さん、選手たちが安全にプレーできる会場設営・運営をしていただいたフットサルクラブ WINGの代表・高部聖さん、そして軽米翔吾さん、本当にありがとうございました。
Links
高部聖さんのクラブサイト……『フットサルクラブ WING』
軽米翔吾さんのサイト……『Happy Sports』